胃カメラ(内視鏡)検査について
胃カメラは、先端にカメラがついた内視鏡スコープを挿入して、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。微細な病変の発見が可能であり、止血や組織採取、アニサキスの摘除といった処置もできます。採取した組織を病理検査することで幅広い疾患の確定診断が可能であり、ピロリ菌感染の有無を確かめることもできます。
胃カメラ検査の特徴
特徴1 経験豊富な専門医・指導医が行っています
当院では、高度医療機関で長く研鑽を積んだ日本消化器内視鏡学会認定専門医、指導医が丁寧な内視鏡検査を行っています。精度の高い検査を短時間に行い、患者さんの心身への負担も最小限に抑えています。
特徴2 経口・経鼻 選べる胃カメラ
嘔吐反射が無く楽に受けられる経鼻内視鏡
舌の根元には触れると反射的に強い吐き気を催す場所があります。異物をうっかり飲み込まないように生理的な反射として嘔吐感を起こしています。歯磨きの際にオエッとなるのもこの反射的な嘔吐感です。口から内視鏡スコープを挿入すると、舌の根元に絶えずスコープが触れてしまい、苦しさを感じます。超極細スコープが登場して鼻からの内視鏡スコープ挿入なら、舌の根元に直接スコープが触れないので嘔吐反射を抑えて検査が行えます。
経鼻検査は、鼻麻酔や咽頭麻酔といった局所麻酔だけで楽な検査が可能です。お体への負担が軽減でき、検査中に医師との会話もできます。鎮静剤を使用しないので、検査後はご自分で自動車を運転してご帰宅できます。
鎮静剤を使用した苦痛のない経口内視鏡
舌の奥に強い嘔吐感を起こしやすい経口検査の場合、当院では軽い鎮静剤を使ってウトウト眠っているような状態で検査を受けていただいています。検査中の苦しさや痛みがなく、リラックスした状態で検査を受けられます。経口内視鏡検査でも経鼻検査で用いる極細スコープを使いますので、負担も軽く楽に検査が受けられます。
特徴3 リカバリースペースを完備
鎮静剤を使った検査では、検査後の15~30分程度、ベッドでお休みいただきます。当院ではリラックスいただけるリカバリースペースを複数ご用意していますので、検査後も安心してお休みいただけます。
特徴4 オリンパス社の最新内視鏡システム「EVIS X1」導入
内視鏡分野で世界的な高い評価を長年得ているオリンパス社の最新内視鏡システム「EVIS X1」を導入し、専門医・指導医の高度な検査技術を十分に活かした検査ができるようにしています。特殊な波長の光による観察、拡大、画像処理などの高度な機能が進化し、微細な病変を短時間に発見できるようになっています。また、患者さんへの負担を軽減するための工夫が細部にまで施されています。
NBI
がん細胞は急激に増殖することから大量の酸素や栄養が必要になります。見た目では発見が難しい微細な早期がんでも、毛細血管の分布を確かめることで短時間の発見が可能になります。NBIは、特殊な波長の光を照射することで血管分布を詳細に観察できる機能です。NBI登場の時点ではのどや食道粘膜の早期がん発見への有効性が高かったのですが、明度が上がった現在は胃などの早期がん発見にも大きく役立っています。
ワイドアングル
一般的な機器の視野角は前方140度ですが、当院では視野角170度のワイドアングルを採用しています。一目で確認できる範囲が広がったことで死角が減り、消化管のヒダやシワに隠れた炎症や疾患も見逃しなく観察が可能となりました。
特徴5 ハイビジョン大型モニターによる観察
検査中にはリアルタイム画像をハイビジョン大型モニターに表示させ、詳細に確認しながら検査を進めています。映り込みや反射のないモニターですから、見る位置や角度にかかわらずクリアな情報を得ることができ、クオリティの高い検査を短時間に行うことが可能になっています。経鼻検査の場合、患者さんのご希望がありましたら検査中に画像をご覧いただくこともできます。
特徴6 土曜日の胃カメラ検査も行っています
当院では土曜日にも胃カメラ検査を行っています。平日は休めないという方でも胃カメラ検査や診療が可能です。
特徴7 胃カメラ検査・大腸カメラ検査を同日に受けられます
1日で胃カメラと大腸カメラの両方の検査を受けられるようにしています。前日や当日朝の飲食制限も1回ですみ、通院回数も減らすことができます。胃と大腸の精密な検査をご希望されている場合、負担を大幅に軽減にできます。
特徴8 感染予防のために、洗浄や消毒を徹底しています
当院では、感染予防に力を入れています。使い捨て可能なものはディスポーザブル製品を使い、使い捨てできない処置具などは、内視鏡学会で定められたガイドラインを遵守した高度な洗浄・滅菌を行っています。オートクレーブなどを使って徹底的に洗浄・消毒したものを患者さんごとにご用意していますので、ご安心ください。
胃カメラで発見・診断できる疾患
食道・胃・十二指腸疾患で起こる症状は、数多くの消化器疾患で共通しています。また、症状が強くても適切な処置や治療ですぐに治るケースや、逆にちょっとした不調程度の症状にがんなどの深刻な病気が隠れていることがあります。また、消化器症状は市販薬で一時的に解消できることが多く、それによって受診が遅れて深刻な疾患が進行してしまうこともあります。軽い症状でも続くようでしたら専門医を受診して胃カメラ検査を受け、原因をしっかり確かめましょう。
特に、胃がんを発症したご家族がいる方など、ピロリ菌に感染している疑いがある場合には、症状が特になくてもできるだけ早いタイミングで1度、胃カメラ検査を受けるようお勧めしています。ピロリ菌感染陽性の場合、自覚症状に乏しいまま進行して胃がんが発生しやすい萎縮性胃炎になってしまう可能性があります。
胃カメラ検査で見つかる主な疾患
- 食道がん
- 胃がん
- 十二指腸がん
- 胃炎
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃ポリープ
- 十二指腸ポリープ
- 胃粘膜下腫瘍
- バレット食道
- 逆流性食道炎
- 食道裂孔ヘルニア
- ピロリ菌感染
- 胃アニサキス症の検査と摘除治療
など
検査を受けるタイミング
胃がんは進行するまで症状に乏しく、転移してはじめて発見されることもあります。特に早期胃がんははっきりとした症状を起こすことはほとんどなく、胃カメラ検査が発見可能な唯一の検査です。自覚症状のない段階で検査を受ける必要がありますので、胃がんリスクが上昇しはじめる40歳を超えたら胃カメラ検査を受けるベストタイミングです。また、ご家族に胃がんになった方がいる場合など、ピロリ菌感染の可能性がある方は40歳になるのを待たずに受けるようお勧めしています。
下記に当てはまる場合、早めの胃カメラ検査をお勧めします
- 40歳以上で、これまで一度も胃カメラ検査を受けたことがない
- ピロリ菌感染陽性のご家族がいる
- 胃がんになったご家族いる
- 喫煙や飲酒を習慣的に行っている
- 慢性的な胃の症状がある
など
胃カメラ検査の流れ
当院では、原則として事前にご予約いただいた上で胃カメラ検査を行っています。基本的に前回診察時にご予約いただいています。また、緊急の検査の必要性があり,当日の検査枠が空いている場合には、直接ご来院されてその日のうちに検査を行うことも可能です。ただし、朝食を食べていない、半固形食を食べてから6時間以上なにも食べていないなどの条件を満たす必要があります。また、胃アニサキス症など緊急性の高いケースではできるだけ対応するよう調整していますので、ご相談ください。
飲んでいるお薬によって生検できない場合があります。必ずお薬手帳など服薬状況がわかるものを持参してください。
Step1診察
ご記入いただいた問診票を基に症状などについてうかがい、胃カメラ検査についてくわしくご説明し、ご納得いただいた上でご予約をお願いしています。事前の血液検査として、HBs抗原、HCV抗体、梅毒の感染症チェックも行う必要があります。胃カメラ検査では、検査前日・当日の食事制限、普段お薬を飲んでいる方の服薬や休薬なども必要になりますので、そうした内容もわかりやすく説明しています。当日検査ではこうした条件を満たす必要がありますので、ご確認ください。
Step2検査前日
検査が午前中の場合は、夕食を21時までにとり、その後は検査終了まで絶食です。午後の検査の場合は、特に制限はありません。水分は透明で糖分のない水や薄いお茶などでしっかりとってください。
Step3検査当日
午前中の検査の場合には、朝食を食べないでご来院ください。午後の検査予約がある場合は、検査の6時間前までに半固形食など消化のしやすい食事をしてください。水分は透明で糖分のない水や薄いお茶などでしっかりとってください。
Step4ご来院
経鼻検査と経口検査からご希望の検査をお選びいただいています。当院では基本的に鎮静剤を使った患者さんに負担の少ない検査を行っていますので、当日の自動車、オートバイ、自転車などの運転はできません。ご来院の際にも公共交通機関やご家族の送迎でいらしてください。
ただし、経鼻検査では鎮静剤を使用しない検査が可能です。その場合には、当日に運転が可能であり、検査後にお休みいただく必要なくすぐに説明を受けてご帰宅が可能です。経口検査では、舌の根元で起こる嘔吐感が強く苦しい検査になりやすいため、点滴で鎮静剤を投与していますが,当日の運転をご希望される方は鎮静剤を投与しないで検査することも可能です。
Step5検査
検査室に入室し、最初に胃の中の泡を消す薬を服用します。
経鼻検査
止血防止と痛みを軽減させる2種類のスプレーを鼻腔に噴霧します。検査中に検査画像をご覧になることもできますので、ご希望がありましたらお声がけください。
経口検査
スプレーで咽頭麻酔を行ってからマウスピースを口にくわえ、鎮静剤を静脈投与して検査を開始します。
経鼻検査・経口検査のどちらも、食道・胃・十二指腸の粘膜を詳細に確認する検査自体の所要時間は5~10分程度です。組織採取、止血処置、アニサキスの摘除などを行う場合には、もう少し時間がかかります。
Step6検査終了
鎮静剤を使わない場合、検査後すぐに医師からの説明を受けられますが、鎮静剤を使った検査では検査終了後にリカバリースペースで15~30分お休みいただく必要があります。当院では個室のリカバリースペースを複数ご用意し、患者さんがリラックスしてお過ごしいただけるようにしています。
Step7結果の説明
検査をした医師が検査画像を用いて丁寧に結果を説明しています。どんなことでもお気軽にご質問ください。
なお、鎮静剤を使わない検査の場合は、検査後すぐに医師の説明を受けてご帰宅可能です。鎮静剤を使った検査では、検査後しばらくお休みいただいてからのご説明となります。
検査中に組織採取を行った場合には、病理検査やピロリ菌感染検査の結果が出るまでに1週間程度かかります。結果が出てから再度ご来院いただき、結果説明となります。
Step8ご帰宅後
検査後、1時間で飲食可能になります。最初は少量の水を口に含み、慎重に飲み込んでむせるなどがないかを確認してください。
組織採取をした場合には、検査当日から翌々日まで、飲酒や激しい運動をしないでください。
検査の費用について
1割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|
胃カメラ検査 | 約1,200円 | 約3,000円 |
胃カメラ+病理検査 | 約2,500~4,000円 | 約7,500~11,000円 |
胃アニサキス除去 | 約4,500円 | 約13,500円 |
※診察料や採血にかかる費用は、別途必要となります。