大腸カメラ検査について
大腸カメラ検査は先端にカメラがついた内視鏡スコープを挿入して、大腸全域の粘膜を直接観察できる検査です。組織を採取して病理検査による確定診断が可能であり、止血処置なども可能です。また、大腸がんは放置された大腸ポリープから発生することが多く、大腸カメラ検査時に発見した大腸ポリープは検査中に切除する日帰り手術が可能です。がん化する可能性のある前がん病変の大腸ポリープを切除することで大腸がん予防につながります。また、別の日に改めて切除手術を受ける必要がなく、事前の食事制限や下剤服用なども1回ですみます。さらに、検査中に行う日帰り手術ですから入院する必要もありません。
当院では微細な病変も発見可能な高度機能を備えた最新の内視鏡システムを導入しており、内視鏡検査と治療に関する研鑽を積んだ医師が検査を行っています。短時間にクオリティの高い検査が可能であり、ウトウトしたリラックス状態で検査を受けていただける鎮静剤を使った内視鏡検査を行っていますので、苦手意識がある方も安心してご相談ください。
大腸カメラ検査の特徴
特徴1 経験豊富な専門医・指導医が行っています
当院で行う大腸カメラ検査は、高度医療機関で長く研鑽を積んだ日本消化器内視鏡学会認定専門医、指導医が行っています。短時間にクオリティの高い検査を行うことで、患者さんの心身への負担も大幅に軽減しています。検査中の大腸ポリープ切除も症例に合わせて適切な手法を選択して安全性の高い手術を行っています。
特徴2 苦痛を抑えて楽に受けられる大腸カメラ検査
ウトウトとリラックスした状態で受けられる鎮静剤を使用した検査を行っており、苦痛を最小限に抑えた検査が可能です。苦痛を起こしやすいとされる挿入時には腸を圧迫しない高度な無送気軸保持短縮法を用い、体位を変えていくことで最も負担が少ない検査を短時間に行っています。
また腸を膨らませてヒダやシワの奥まで観察するために、空気よりも吸収の速い炭酸ガスを送気して検査後のお腹の張りや吐き気も起こりにくくしています。炭酸ガスは吸収されると呼気で二酸化炭素として速やかに排出されるため安全性も高くなっています。
さらに、内視鏡スコープには受動湾曲機能が搭載され、不快感を起こす腸の圧迫が生じにくくなっています。スコープ先端にはフードの装着も可能であり、死角になりやすいヒダやシワの奥の観察もスムーズになっています。
さまざまな面でこうしたきめ細かい配慮を行うことで、クオリティの高い検査を楽に受けていただけるようにしています。
特徴3 個室のリカバリールームでお休みいただいています
鎮静剤を使った場合、検査後に15~30分程度ベッドでお休みいただきます。当院ではリカバリールームを複数ご用意して、患者さんがリラックスしながら安心してお休みできるようにしています。
特徴4 最新内視鏡システムであるオリンパス社の「EVIS X1」導入
内視鏡分野で世界的なトップブランドとして高い評価を得てきたオリンパス社の最新内視鏡システム「EVIS X1」を導入しています。特殊な波長の光による観察、拡大、画像処理などの高度な機能が搭載され、専門医・指導医の高度な検査技術を十分に生かした検査が可能になっています。微細な病変を短時間に発見することが可能であり、患者さんへの負担を軽減するさまざまな機能が備わっています。
NBIや拡大などによる高度な観察
NBIは特殊な波長の光を当てて血管だけを強調表示する機能です。がんは活発な増殖のため周囲に血管を集める性質があり、通常光の観察では発見できない微細な早期がんの発見に大きく役立ちます。これにより検査中に適切な治療法まで検討できるため、必要があれば高度医療機関を速やかにご紹介するなど、適切な治療へスムーズにつなげることができます。
大型ハイビジョンモニターで確認しながら検査を進めます
ハイビジョンモニターは一目で詳細な観察が可能であり、リアルタイムで画像を確認しながら高度な検査を短時間に行うことができます。患者さんへの負担軽減と正確な診断のために大きく役立ちます。
特徴5 十分な観察時間を確保しています
内視鏡検査では粘膜をすみずみまで詳細に観察しますので、熟練した専門医でも十分な観察時間を確保する必要があります。当院では熟練した専門医・指導医が大腸カメラ検査を行っていますが、平均した観察時間は10分程度であり、挿入も含めた検査所要時間は15~20分程度です。海外の研究発表ですが、大腸カメラ検査では観察時間が6分以内の場合、有意に見逃しが多いと報告されています。疾患によって独特の病変があり、微細な早期がん・平坦な大腸ポリープなどの適切な判断といった高度な観察のためには、ある程度の観察時間が必要です。
特徴6 男女別の更衣室をご用意しています
大腸カメラ検査を受ける際には、当院がご用意した検査着に着替えていただく必要があります。当院では、男性用、女性用の更衣室をご用意し、安心してお着替えいただけるようにしています。
特徴7 検査中に発見した大腸ポリープを切除
大腸カメラ検査中に前がん病変のポリープが発見された場合、状態に合わせた適切な切除をその場で行う日帰り手術が可能です。なお、創部の大きさなどにより出血の可能性がある場合には、クリップで止血する処置を行います。クリップは1週間程度で便と共に自然に排出されます。
ほとんどの場合は検査中の手術が可能ですが、ポリープの数が多い場合やサイズが大きい場合には、入院による手術が必要となりますので、連携している高度医療機関をご紹介してスムーズに適切な手術を受けていただけるようにしています。
特徴8 洗浄や消毒を徹底的に行うことで、感染を予防しています
当院では、感染予防に力を入れており、使い捨て可能なものはディスポーザブル製品を使用し、それができない処置具などは、内視鏡学会で定められたガイドラインを遵守した高度な洗浄・滅菌を行っています。患者さんごとにオートクレーブなどを使った徹底的な洗浄・消毒を行ったものをご用意することで、安心して検査を受けていただけるようにしています。
特徴9 同日に胃カメラ検査・大腸カメラ検査の両方を受けられます
1日で胃カメラと大腸カメラの両方の検査を受けられるようにすることで、前日や当日朝の飲食制限も1回ですみ、通院回数も減らせるようにしています。胃と大腸の精密な検査をご希望されている場合、スケジュール的な負担の軽減になります。
大腸カメラ検査でわかる疾患
腹痛、下痢・便秘、膨満感、血便といった症状は、幅広い疾患で起こります。冷えや食あたりといった日常的な不調や良性疾患の痔、大腸がん・大腸ポリープ・難病指定されている潰瘍性大腸炎やクローン病などの深刻な疾患は共通した症状が多く、症状だけで判断することはできません。
大腸カメラ検査は大腸粘膜の状態を詳細に観察することで、疾患の独特な病変や微細な病変の発見と診断が可能であり、検査中に組織を採取することで病理検査によってさまざまな疾患の確定診断につなげることができます。また、放置していると大腸がんになる可能性がある前がん病変の大腸ポリープを発見した場合には、その場で切除することで、将来の大腸がん予防につながります。
大腸がんは日本人のがんによる死亡原因として男女で上位を占めており、罹患率も上昇傾向にあります。ただし、大腸がんは早期発見と適切な治療でほとんどが完治を望むことができ、大腸ポリープ切除によって予防も可能です。そして、早期の大腸がんや前がん病変の大腸ポリープを発見できる唯一の検査が大腸カメラ検査です。
早期大腸がんや前がん病変の大腸ポリープは自覚症状がほとんどないため、自覚症状がない状態で大腸カメラ検査を受けることが早期発見や予防には不可欠です。基本的に40歳以上の方に大腸カメラ検査をお勧めしていますが、習慣的な飲酒や喫煙をされている方、大腸がんになったご家族がいる方は早めに受診してください。
当院では楽に受けていただける精度の高い大腸カメラ検査を提供することで、少しでも大腸がんでつらい治療に苦しむ方やご家族を減らせたらと考えています。きめ細かく配慮し、できる限りご希望に合わせた対応を心がけていますので、苦手意識がある方、ご不安を感じる方も安心してご相談ください。
大腸カメラ検査で発見・診断できる疾患
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 過敏性腸症候群
- 虚血性大腸炎
- 大腸憩室症
- 腸結核
- サイトメガロウイルス腸炎
- クロストリディオイディス・ディフィシル腸炎
- 放射線性腸炎
- Collagenous colitis
- 腸管ベーチェット病
など
大腸カメラ検査を受けるベストタイミング
厚生労働省の発表したがん統計では、大腸がんが男女合計の罹患数1位となっています。また大腸がんは最近の20年間で死亡数が1.5倍に増加しており、死亡者数が長く増加傾向にあります。ただし、早期の大腸がんや前がん病変の大腸ポリープにはほとんど自覚症状がありません。そのため早期発見には症状がない状態で唯一発見可能な大腸カメラ検査を受ける必要があります。大腸がんは50歳くらいから発症リスクが上昇しはじめますが、前がん病変の大腸ポリープは40歳を超えると発症リスクが上昇しはじめるため、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を保つためには40歳を超えたタイミングでの大腸カメラ検査をお勧めしています。またリスクが高い方は、40歳になるのを待たずに大腸カメラ検査を受けるようにしてください。
下記に当てはまる場合、早めの大腸カメラ検査をお勧めします
- 40歳以上で、これまで一度も大腸カメラ検査を受けたことがない
- 大腸がんになった血縁者がいて30歳を超えた
- 潰瘍性大腸炎やクローン病といった慢性的な大腸炎症疾患がある
- 大腸がんやそれ以外のがんになったことがある
- 大腸ポリープを指摘されたことがある
大腸カメラ検査の流れ
Step1事前診療と検査予約
大腸カメラ検査を受ける場合、前日の食事制限と下剤服用、当日朝の下剤服用などの前処置が必要です。また、普段便秘になりやすい方は、便通を改善する治療が必要になることもあります。さらに検査中に大腸ポリープが発見された場合に日帰り手術を行いますので、その可能性を考慮して切除を行った場合に必要になる1週間程度の制限についても事前にご理解いただく必要があります。
当院では事前診療を受けていただいた上で検査予約をお願いしています。事前の血液検査として、HBs抗原、HCV抗体、梅毒の感染症チェックも行う必要があります。また、普段、お薬を飲んでいる場合には、すべてお教えいただいて先日や当日の休薬・服薬の指示も行っています。
服薬に関するご注意
血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を服用されている場合には、特に事前診療の際に医師へお伝えいただくことが重要です。医師に伝え忘れると、組織採取や大腸ポリープ切除を行った場合、出血が止まらなくなる可能性があり大変危険ですので、必ず伝えてください。服用されているお薬がすべて記載されているお薬手帳をお持ちいただくか、飲んでいるお薬をすべてご持参いただいても大丈夫です。
Step2検査前日
普段、お薬を飲んでいる場合、事前診療の際の休薬・服薬の指示を守ってください。
前日の食事は消化しやすいものをとり、特に夕食は白粥、素うどんなどがお勧めです。夕食を21時までにすませたら、それ以降水分摂取は可能ですが、検査が終了するまでは絶食です。水分は、透明で糖分を含まない水や薄いお茶などでとってください。夕食後は、お渡しした下剤を服用し、早めに就寝します。
Step3検査当日
検査予定時間の4時間前に、洗腸剤約2リットルを何度かに分けて飲み切ってください。便意が落ち着いて、腸がきれいになったら検査時間の少し前までにご来院ください。
なお、下剤服用にご不安がある方には、早めにご来院いただいて院内で下剤を服用いただくことも可能です。事前診療の際にお申し出ください。
いずれの場合も、腸がきれいになったことを確認してから検査となります。
ご来院に関するご注意
鎮静剤を用いた検査を行っていますので、検査後にご自分で自動車やオートバイ、自転車などの運転をすることはできません。ご来院時にも、公共交通機関を利用されるか、ご家族などに送迎をお願いしてください。
鎮静剤を使用しない場合は運転ができますので,運転をご希望される方はおっしゃってください。
Step4受付と準備
ご予約時間の少し前にご来院し、受付にお声がけください。
別室にご案内し、便の状態を確認してから当院がご用意した検査着にお着替えください。
Step5検査
検査室に入って点滴を行います。診察台に横になり、左側臥位をとります。
点滴で鎮静剤を注入し、肛門に医療用のゼリーをたっぷり塗ってから内視鏡スコープを挿入します。
検査の所要時間は15分程度ですが、検査中にポリープを切除した場合には20分程度かかります。
Step6検査終了
鎮静剤の効果は手術後すぐに切れますが、しっかり覚めるまで15~30分程度お休みいただきます。当院では、リカバリールームをご用意し、リラックスしてお休みいただけるようにしています。
Step7ご説明
検査を行った医師が検査画像を使ってわかりやすくご説明しています。ご不明な点がありましたら、些細なことでもご質問ください。検査の所見や画像をお渡ししていますので、ご帰宅後にもゆっくりご確認いただけます。
なお、検査中に組織採取や大腸ポリープ切除を行った場合、回収した組織の病理検査結果が出る約1週間後にお越しいただいて結果をお伝えしています。
Step8ご帰宅後
飲食は検査終了後の1時間後から可能にあります。前日からの食事制限や下剤服用により低血糖を起こしやすい状態なので、甘いお菓子や飲物など糖質をとるようお勧めしています。当日は、運動や飲酒を避けてください。
ポリープ切除を行った場合は、当日の食事をゼリー・豆腐・プリンなど消化しやすいものにしてください。翌日、腹痛や出血がなければ、少しずつ普段の食事に戻していきます。それ以外の制限として、1週間程度は飲酒や運動、排便時のいきみ、長距離移動を控える必要があります。
検査の費用について
1割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|
大腸カメラ検査 | 約1,700円 | 約5,000円 |
大腸カメラ+病理検査 | 約3,000~6,000円 | 約9,000~18,000円 |
日帰り大腸ポリープ切除 | 約7,000~10,000円 | 約20,000~30,000円 |
※診察料や採血にかかる費用は、別途必要となります。